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水泳 |
水泳は有酸素運動の中で一番効率が良くその有用性は広く認められています。健康増進のために積極的に行ってください。しかし、一方で耳,鼻、のどなどの粘膜病変を悪化させることもあります。鼻炎や中耳炎にかかりやすい方は水泳の良い面と悪い面を十分考えて水泳の可否を決めた方が良いでしょう。
良い面
1.全身の筋力をまんべんなく使いバランスの良い体作りが出来る。
2.心肺機能を無理なく高める。
3.体力を増進させ、免疫力を高め、病気になりづらくなる。
悪い面
1.消毒の塩素が鼻、耳、のどの粘膜の刺激になる。
塩素系消毒について:O-157の大騒動以来、プールの塩素系消毒薬の濃度を何処でも高くしてあり、それが様々な障害をもたらしつつあるので注意が必要です。
プールに入れる塩素系消毒薬の濃度は、国の基準で0.4〜1.0ppmの範囲でなければなりません。この濃度であれば大腸菌は直ぐに死滅するので、殺菌には良いのですが、1.0ppmに近くなると、鼻の粘膜や角膜に炎症を引き起こすことがあります。
また、塩素に対する感度には個人差があるので、もし子供がプールから真っ赤な目や赤みを帯びた肌で帰って来るようなら、ゴーグルをしっかりつけるよう指導し、シャワーで目や身体を良く洗って、消毒薬を洗い落とすように注意をしてあげて下さい。
2.寒い季節は風邪をひきやすくなる。 |
代表的な疾患における水泳の可否 |
<判断にお困りの際は診察時にご質問ください。>
急性中耳炎、急性外耳道炎、急性副鼻腔炎、急性上気道炎、急性咽喉頭炎
これらの急性炎症の場合は、2週間ほど控えた方が良いでしょう。
鼓膜チューブ留置者
鼓膜チューブ留置児童に対する水泳の可否は、学会でも様々な意見があり一定していません。私自身の考えとしては、子供の情操教育の面から夏期に学校教育の一環として行われる水泳に限れば、確実な経過観察のもとであれば可能だと思います。しかし、冬期の水の入れ変えの不十分な室内プールでの水泳は避けたほうが良いと考えます。
大人に関しては鼓膜が乾いており、防水耳栓を使用しての水泳は可能ですが、飛び込みや潜水は避けた方が良いでしょう。
アレルギー性鼻炎
私自身も重症なアレルギー性鼻炎で何度となく水泳で鼻炎を悪化させた経験から言えることですが、主な症状が鼻づまりの方は避けた方が賢明です。どうしてもやりたい場合は症状が落ち着いた際に鼻栓を使用し、水が鼻内に入らないように注意してやってみて下さい。水泳後に症状が強くなる程度であれば、鼻炎用スプレー等でコントロール可能だと考えます。
慢性副鼻腔炎(蓄膿症)
炎症が落ち着いており、鼻閉、鼻水等の症状がない場合は確実な経過観察のもとで可能だと考えます。 |
ピアス |
最近はピアスが流行しているようで沢山の方がピアッシングしていますが、ピアスホールに感染を起こしていたり、その位置がおかしい方も多く見かけるようになりました。自分でピアッシングした方のピアスホールを見て、いつも思うことは左右のバランスが取れていない方が多いということです。自分で行うピアッシングは難しいものですが、位置がおかしいことに気付き、開け直している方の中でも、きれいに開けている人は意外と少ないように思います。
またピアスを開けるということは医療行為に当たり、自分で開ける場合は別ですが、お友達など他人に開けてもらうことは医療法の違反にあたります。感染やアレルギーなどのトラブル防止や、トラブルが起きてしまった場合の対処を考えると、医療機関で開けるほうが安全です。
ピアスの穴に生じた炎症性の変化をピアス皮膚炎と総称します。不潔な器具を用いてのピアッシングは感染の機会を増大させ、ピアス皮膚炎を高頻度に発現させます。またピアス皮膚炎防止のためにはファーストピアスの選択も重要な要素です。日本人の耳たぶは白人に比べて厚い方が多いのですが、一般的な6mmスタッドのピアスは、初めての方には短いので長めのスタッドのものを用いたほうが良いのです。それはピアッシングしたばかりの耳たぶは軽い炎症を起こし軽度に腫脹しており、スタッドが短いピアスだとホールの創面を圧迫し傷の治りを遅くするからです。また、金属アレルギーの心配のある方は医療用チタン製の特殊なピアスをファーストピアスとして使用するほうが安全です。
ピアス皮膚炎の時期としては、ピアッシングを行った直後から1カ月以内が最も多く、中にはピアッシングから数年を経ておきる方もいます。金属アレルギーの関与する症例もありますが、ほとんどの場合は外傷を契機にした感染が原因です。この場合の外傷はピアスを引っ掛けたりしてピアスホールに外力が加わり裂傷が起こることや、ピアス軸をピアスホールに誤って刺してしまうことを言い、感染とは細菌が付着し炎症を起こすことを言います。このような炎症が起きた場合は、ピアスを取り除くのが妥当な処置になりますが、ピアスホールは閉塞してしまうことが多いです。ピアスを取り扱う医院ではピアスホールを保存しながら効果的に治すことも出来ますから相談してみても良いでしょう。
ピアスといっても身体に傷を付けることには変わりありません。軽く考えず慎重に対応してください。 |
コンサート |
コンサート難聴という病気があります。強大な音(たとえば強烈な音を出しているスピーカの側など)に短期間さらされていることによって起こる難聴で、内耳の障害によるものです。ロックコンサートに行った直後や翌朝、耳のふさがった感じや、難聴、耳鳴りがするなどといった症状が出ます。ロックコンサートやディスコなどで起こることが多いので、このような名前がついています。通常痛みやめまいを伴うことはありません。
治療
難聴の程度が軽く、早く治療を開始した場合は大抵治りますが、必ず治るとは言えません。難聴を自覚した場合は出来るだけ早く治療することが必要です。一時的に治っても同じことを繰り返していると治りにくくなることがあります。
予防法
スピーカーから出来るだけ離れるようにするなど、強大な音にさらされないように注意することが大切です。またライブハウスなどの狭い場所の壁側も音の反響があり危険です。カラオケなどもスピーカーの位置によっては発症する可能性がないとは言えません。
音に対する感受性は個人差が大きいので、同じように強大音にさらされても難聴を起こさない方もいますが、少なくとも隣の人との会話が出来ないレベルの音にさらされ続けるのは危険だと考えます。 |
風邪薬について |
これが風邪薬です。というものはないのですが、風邪薬の大体が抗生物質、解熱剤、去痰剤、消炎酵素剤の組み合わせで処方されています。それぞれの特徴を述べますので参考にしてください。(これらの薬剤以外にも咳止め、胃腸薬なども処方されることがあります。)
抗生物質
風邪の初期においてはウイルス性感染が主体ですから、抗生物質の必要性は少ないです。しかし、小児や高齢者の方は耳、鼻、扁桃腺、気管支などに細菌の2次感染を来たしやすいので必要に応じて服用したほうが良いでしょう。
セフェム系、ペニシリン系、ペネム系
細菌感染に有効です。良く処方されるものですが、腸内細菌の未熟な乳幼児では下痢が起こりやすいです。
マクロライド系
細菌やマイコプラズマなどに有効です。マイコプラズマは肺炎や長引く咳などの原因菌として有名です。
マクロライド系抗生物質の少量長期投与は慢性副鼻腔炎、滲出性中耳炎に対する免疫機能の改善、貯留液排出の促進作用も有します。
合成抗菌剤
いろいろな病原菌に広く有効ですが、消炎鎮痛解熱剤との飲み合わせに注意を要する薬剤や、小児に適応のない薬剤が多く、患者さん個々人の状態に応じて処方します。
テトラサイクリン系
いろいろな病原菌に広く有効ですが、幼少児では歯への色素沈着の可能性もあり最小限の処方とします。
解熱剤
38.5℃以上での使用が目安です。発熱は病原菌を殺す生理的な反応ですので、無理に熱を下げる必要はありませんが、熱+α(頭痛、耳痛、喉の痛み、吐き気の持続による脱水傾向など)の症状があれば、ご本人の苦痛を考えて最低限に使用してください。
インフルエンザにおいてはサリチル酸系の解熱剤(ジクロフェナクトリウム、メフェナム酸など、商品名ボルタレン、ポンタールなど)はまれにインフルエンザ脳炎、脳症を誘発する可能性がありますので、使用を控えてください。インフルエンザ脳炎、脳症とはインフルエンザの経過中に、意味不明の言動、幻視、意識がはっきりしない、けいれん等の症状が発現し、年間100〜200例ほどの発症です。約30%の方が亡くなるという恐ろしい合併症です。発症者の多くが1〜5歳の小児です。
去痰剤
痰は病気でない人でも普段からある程度は出ているもので、嚥下されたりして外に喀出されることは殆どありません。
風邪では痰に気道炎症に伴う滲出物や、病原微生物が含まれるようになり、その量や粘稠度も正常時とは大きく異なっています。このため咳に伴って痰が喀出されるようになり、あるいは粘稠な痰の存在そのものが気道を刺激して咳反射を誘発してしまうことになります。
痰の切れを良くする薬を「去痰剤」と呼んでいますが、去痰剤は気管や気管支中の痰の粘稠度を低下させ、粘液の分泌を増大させて痰の喀出を容易にする薬物をいいます。
代表的な薬には塩酸ブロムヘキシン、カルボシスティン、塩酸アンブロキソールム、商品名ビソルボン、ムコダイン、ムコソルバンなどがあります。
去痰薬の副作用としては、総じて重篤なものはなく、過敏症や消化器症状(悪心など)が起こることがある程度です。
一つ注意したいのは、これらの薬を服用すると効果発現に伴って、一時的に痰の喀出量が増えることがあるという事です。これは異常ではなく薬が効いたことによるものなので、患者さんは「増悪した」と思われるかもしれませんが心配する必要はありません。また去痰薬を服用する際には、水分も多めに摂取するようにすると効果的です。
消炎酵素剤
この消炎酵素成分配合を謳い文句にした「かぜ薬」も幾つかありますね。「塩化リゾチーム配合」ということをテレビCMで聞いたことがある方も多いと思います。「消炎」と名のついている事からもわかるように、炎症を消す働きがあるとされています。
その作用機序としては生体の炎症反応に際して、活性化されてくるプラスミンなどの蛋白を分解することで、炎症を和らげるというものです。
代表的なもので塩化リゾチーム、セラペプターゼ、商品名ノイチーム、ダーゼンなどがあります。
これら薬剤に共通して注意すべき副作用として「過敏症」があります。ことに塩化リゾチームは卵白由来の成分であるため、ひどい卵アレルギーの方には投与できません。 |
インフルエンザについて |
『インフルエンザ』とはイタリア語で“同時に多くの人を襲う災厄”という意味です。1743年にヨーロッパで全身症状が強く多数の死者を出した風邪が大流行した時にインフルエンザと名付けられました。後にインフルエンザを引き起こすのがウイルスであることが解明され、インフルエンザウイルスと名付けられました。このウイルスの中で人間に感染・発症するタイプの代表例がA香港型、Aソ連型で、その他に症状が軽いタイプのB型があります。
インフルエンザウイルスに感染すると48時間でウイルスが急激に全身で増殖し、その後、体内のインターフェロンや中和抗体の働きによって4〜7日でウイルスが死滅していきます。日本では1〜2月にA型が、隔年で2〜3月にB型を中心に流行しています。
症状
一般的な風邪に比べて全身症状が強いのが特徴です。高熱(38℃以上)が突然出るとともに、悪寒、頭痛、腰通、筋肉痛、全身倦怠感が出現します。それと同時期か、1〜2日遅れて鼻水、くしゃみ、のどの痛み,咳などの呼吸器症状が出てきます。時には食欲不振,悪心、嘔吐、下痢、腹痛などの消化器症状も出現します。熱は通常3日程度で下がります。二度熱という、一旦下がった熱がウイルス自身の反応によって再度1〜2日上昇する場合もあります。呼吸器症状はその後も数日続き、合併症がなければ約1週間の経過で治癒します。
合併症
普通の風邪と違い、全身症状が強いため様々な合併症を起こします。高齢者ではインフルエンザ後の細菌感染による肺炎で死亡することも稀ではありません。
発病して4〜5日してもいっこうに熱が下がらなかったり、咳、痰がひどくなって、呼吸困難や唇が紫色になるチアノーゼが現れたり、胸痛が起こったりしたときは、肺炎を合併した可能性がありますので必ず医療機関を受診してください。また、稀に脳炎、脳症やギランバレー症候群などという神経系の病気や心筋炎や心外膜炎などの心臓病を合併することもあります。
小児では急性中耳炎、急性副鼻腔炎、声門下喉頭炎(クループ)、肺炎、脳炎、脳症などを起こすことがあります。特に2歳以下の脳炎は発症1〜2日で急激に発現し時には命に関わることがあります。
合併症発症後の経過例
発症1〜4日…乳幼児の脳症・・頭痛、意識障害、嘔吐、首のこわばり
発症2〜5日…乳幼児、高齢者の脱水・・尿が出ない、ぐったりしている
発症4〜8日…乳幼児、高齢者の肺炎・・解熱しない、呼吸困難
乳幼児の中耳炎…解熱しない、不機嫌
治療
発症初期には抗ウイルス剤(タミフル、リレンザなど)による根本的な治療が必要で、発症2日目以降からは対症療法と2次感染の予防が主体となります。家庭で安静にして、保温の上、水分を十分に補給してください。高度な合併症が疑われた場合には、入院を前提として関連病院に紹介することもあります。 |
急性中耳炎について |
急性中耳炎といえば夜中に突然耳が痛くなる病気で有名ですね。一晩痛い思いをして、翌日耳鼻科で鼓膜切開を受け、更に痛い思いをして耳鼻科嫌いになったなんていう方も多いと思います。この急性中耳炎の起因菌のなかで肺炎球菌というものがあるのですが、現在よく使われる抗生物質の幾つかが効かないタイプのものが最近出現するようになりました。
この肺炎球菌はムコイド型肺炎球菌といわれ、名前のとおり肺炎の原因にもなりますし、副鼻腔炎や咽喉頭炎の原因になるため家族内感染も引き起こします。(例えば子供が中耳炎でお母さんが急性副鼻腔炎、おじいちゃんが肺炎になったなんていう場合が起こりえます。)
この菌が原因の中耳炎は痛みや耳漏の他にめまいや耳鳴り、難聴などの内耳炎を早期に起こすことが問題になっています。しかもその内耳炎は症状の激しいものや、徐々に難聴が進行する物など多彩な経過をたどり、成人に多い点も注目に値します。そして最初に選択された抗生物質によってもその経過がかなり変わってしまう点も重要です。そのため診断としては細菌検査が重要になります。早期にそのムコイド型肺炎球菌が原因であると突き止め、適切な抗生物質に切り替えなければなりません。その他に早期に鼓膜切開を施行することも内耳炎の発現予防に大切な治療になります。 |
耳鼻咽喉科健診における病名の判断について |
健診でつけられた病名はあくまでも疑い病名で確定したものではなく、お子様のそのときの状態により変化する可能性があります。病名のつけられたお子様は専門の医療機関にて診察を受けて正しくその状態を評価してもらいましょう。
耳垢栓塞
耳垢が多く鼓膜の状態が確認できない状態です。鼓膜の確認が出来ないと正常、異常の判断が出来ないためプール学習において耳疾患のあるお子様はその耳疾患が悪化する可能性があり危険です。耳垢を取り耳の病気がないか確認することは大切なことです。
滲出性中耳炎
鼓膜が凹んでいたり、鼓膜の奥に滲出液が透けて見えたり、鼓膜の奥にある中耳腔に滲出液が溜まっている状態です。耳がつまったような状態で聴力の低下も認められます。放置すると徐々に悪化し難治性の中耳炎に移行する場合があります。治療に時間がかかる場合が多いですがきちんと治療する必要があります。
慢性中耳炎
鼓膜に穿孔がある可能性があり、慢性の炎症が起きています。耳に水が入れば容易に炎症が悪化し危険です。鼓膜に石灰化があり穿孔がはっきりしない場合などもありますが、まず医療機関にて現状を評価することが大切です。
アレルギー性鼻炎、慢性副鼻腔炎、慢性鼻炎など
なんらかの鼻炎がある場合にはプール学習などで悪化させる場合があります。鼻炎による鼻症状が続くと頭がはっきりせず授業に対する集中力が落ちたり、中耳炎や頭痛の原因となる場合があるので、放置せず治療することが大切です。鼻炎の種類もいろいろありますが、お子様がどのような状態であるか判断しておくことが重要だと思います。
扁桃肥大症 慢性扁桃炎
扁桃腺が通常より肥大していたり、炎症を起こした状態です。扁桃腺が肥大しているとアデノイドも肥大している場合があり、鼻炎や中耳炎の原因となっていることもあります。いびきや無呼吸発作、嚥下、摂食に障害がある等の症状が出る場合があります。肥大が生理的肥大で特に症状がない場合は治療の必要性はありませんが、何らかの症状があり、繰り返す炎症などによって肥大している場合は経過観察や手術を検討する必要があります。 |
補聴器選択のポイント |
最近はなんでもデジタルの時代のため、補聴器にも様々な機能を持ったデジタル補聴器というものが出てきています。聞きたい対象の音を選択的に取り出すために、前方の音のみを効果的に抽出するマイクを搭載した物や、周囲の雑音を選択的に抑える機能のついたものなど半年おきに新しい機能の付いた物が出てきます。
しかし、すべて最新のものが良いかというとそうではありません。アナログの補聴器でもその人の聴力型や用途によってデジタルに勝る場合が少なくありません。その人に合った補聴器を選択してみると結果的にデジタルであったりアナログであったりするのがよいと思います。補聴器を選択するにあたっては、医師によりその聴力の状態や外耳道に耳垢や炎症がないかを評価してもらい、信頼の出来る補聴器店にて購入することが大切です。
信頼の出来る補聴器店とは認定補聴器技能者が常勤しているお店であるという点が大切です。医師は補聴器がその人に合っているか客観的に判断し必要であれば補聴器店に音質調整や付属機の変更などの指示を出します。補聴器を装用すると聴力が悪化する方もおりますので、補聴器を付けたらそれで終わりではなく、定期的に診察してもらい聴力や外耳道の状態を診てもらうことが大切です。
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アレルギー性鼻炎のレーザー治療について |
アレルギー性鼻炎は、くしゃみ・鼻水・鼻づまりを特徴として、 家のハウスダストやダニが原因のことが多い通年性のものと、 スギや雑草の花粉が原因の季節性のものなどがあります。
この通年性の鼻炎に多いのですが、発作期以外にも鼻づまりがあり、 発作期中にはさらに強くなり、夜も眠れず困る事があります。 治療として最近は比較的鼻づまりに良い薬もでてきましたが、
ある程度の期間飲み続けないと効果が出てきません。 即効性のある治療として鼻用ステロイド薬と血管収縮薬などの噴霧でかなり良くなりますが、 長期間は持続しません。これらの方法で良くならない方は、手術を選択した方が良い場合があります。
ここ数年、医療用レーザーや凝固器は目覚しい発展を遂げ、 耳鼻咽喉科領域でも日常診療に使われるようになってきました。 特に、アレルギー性鼻炎や肥厚性鼻炎に対するレーザー治療は、
1995年から始まり、1999年から保険が適応になったため、 広く普及してきています。 アレルギー性鼻炎では、鼻の粘膜に原因となる抗原が付着し、
局所的なアレルギー反応を起こして、鼻粘膜の腫脹と肥厚が起こります。 そのため、鼻で呼吸することが難しく、鼻づまりが生じます。 また、同時に鼻水やくしゃみも発現します。
特に鼻腔の中で面積が一番広い下鼻甲介という部分の粘膜に症状が強く出ます。
レーザー治療とは正確には鼻腔粘膜焼灼術や下甲介粘膜焼灼術といわれるものです。これは鼻粘膜の縮小と変調を目的とした手術で、主として鼻閉を改善させるために行われます。
レーザー治療は鼻腔の下鼻甲介粘膜の表面にレーザーやアルゴンプラズマを当てて、蒸散(固体を気体に変えること)することにより、アレルギーの反応を抑えます。
アレルギーの根治的な治療ではないので、術後も内服や点鼻は併用しますが、手術後には薬を必要とする頻度が減ります。現在はいろいろな種類のレーザーや凝固器がもちいられますが、皮膚や粘膜に照射した場合は、その大半が皮膚細胞の組織の水分に吸収され組織を蒸散させます。つまり肥厚した鼻粘膜を焼灼減量することにより鼻閉を改善し、さらに分泌腺の減量により二次的に抗原に対する反応性を減弱させることでくしゃみ、鼻汁が改善されます。通年性アレルギー性鼻炎で約80%程度の改善効果があります。
鼻腔粘膜焼灼術は局所麻酔で行うことが出来、手術時間も15分程度で出血も少ないので入院の必要がありません。手術後一時的に鼻症状の増悪がみられますが約4週間程で鼻炎症状が軽快してきます。1回の照射で終わらせず数回照射を行ったほうが治療成績が良いです。副損傷として鼻粘膜の壊死が起こることが稀にあります。
適応
1.薬物療法で改善がみられず、血管収縮点鼻薬に対する反応が悪く頑固な鼻閉に悩まされる方
2.内服により胃腸障害、眠気などの副作用が認められる方や小児にも適応可能です |