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耳 鼻 喉 その他
耳が痛い
 耳が痛いという症状は耳に関する症状の中で頻度の高いものです。耳痛を訴える病気としては外耳道や中耳のいろいろな炎症、外耳道異物症、顎関節症、各種神経痛、心因性などがあります。
 この中で特に頻度が高いものとして急性中耳炎が挙げられます。


急性中耳炎の原因は?
 急性中耳炎の原因は上咽頭(鼻の奥)に感染した細菌やウイルスが耳管という耳と鼻の奥を繋いでいる管を経由して耳に感染することによって発症します。人は外界から細菌やウイルスなどの病原菌が体内に感染した場合には、それらに対する抗体が体内で産生され、外界から進入した病原菌の排除を行い、症状の発症を防いでいます。子供では一般に、この外界から進入した病原菌に対する抗体を産生する能力が大人と比較して低いのです。特に3歳以下の乳幼児においてはその傾向が顕著です。
 また、一部の子供においては、他の子供と比較してこの抗体を産生する能力が特に低いために、繰り返し上咽頭に感染を起こし、その結果、急性中耳炎を繰り返し発症することがあります。
 その他、耳管には、上咽頭と中耳腔の空気の交換を行い気圧の調節をしたり、中耳腔に感染した細菌やウイルスを排除したりするという機能もあります。一部の子供では、これらの耳管の機能が悪いために上咽頭に細菌やウイルスが感染しやすくなり急性中耳炎を頻回に起こす場合があるのです。


急性中耳炎の治療は?
 急性中耳炎の治療には抗生物質が使用されます。薬が吸収され血液の流れに乗って炎症のある中耳に達して病原菌に作用します。
 症状が良くなってからも病原菌を徹底的に退治するため処方された薬は残さず飲むことが大切です。


 痛みを我慢していると、難聴になり、最悪の場合は脳に炎症が波及する場合があります。
耳漏が出る
 外耳道や鼓膜に原因がある場合と中耳腔の病変から鼓膜の穿孔を通じて外に出てくる場合があります。耳漏を訴える疾患としてはいろいろな外耳道、中耳、鼓膜の炎症などがあり症状としては1つであってもその病態は様々です。
 最近は難治性の中耳炎が報告され抗生物質が効かないため治癒するまで経過が長い患者さんも多く見られます。子供の急性中耳炎を引き起こす細菌としては肺炎球菌とインフルエンザ菌が主な細菌ですが、これらの病原菌に対し数年前まで効果の見られた抗生物質が効かなくなってきています。特にこれらの細菌は保育園や幼稚園といった集団保育のなかでは潜在的に広まっており、集団保育がなされている乳幼児の上咽頭にはこれらの細菌が、症状を発現しないまま潜在的に感染していると言われます。そのため、一度これらの細菌による急性中耳炎が発症すると、完治するのが難しく、また、集団保育の場合抗生物質の服用が不完全になることが多く、繰り返し急性中耳炎を起こしてしまうのです。

 放置しておくと、難治性の中耳炎に進行する危険性があります。
耳が詰まった感じがする
 耳が閉塞したような感じ、あるいは耳に膜が張って水が入ったような感じとも表現される症状です。この症状は異常が無くとも普段の生活の中で自覚されることもあるので以外に軽く思われていますが、さまざまな病気が隠れていることがあります。最近では低音障害型突発難聴という病気の初発症状として注目されています。この病気は耳が詰まった感じで発症し、聴力検査をしてみると低音の障害が認められるというもので、治療には良く反応するのですが、再発反復するものが約30%あり、メニエール病に移行することもあります。

 その他の耳閉感の原因としては耳垢、滲出性中耳炎、耳管開放症、外傷性鼓膜穿孔等があります。

 放置しておくと、メニエール病や低音型突発難聴の可能性があります。
耳が聞こえなくなった
徐々に聞こえが悪くなった場合は?
 耳が聞こえなくなるという症状には徐々に聞こえなくなる場合と突然聞こえが悪くなる場合があります。
 徐々に聞こえなくなるものには滲出性中耳炎、真珠腫性中耳炎など聴力検査や鼓膜を診ることによってある程度判断のつくものと、老人性難聴、特発性難聴、騒音性難聴、遺伝性難聴、聴神経腫瘍、先天性難聴、前庭水管拡大症などの聴力検査やレントゲン、CT、MRI等の画像検査を合わせないと確定診断が難しいものなどがあります。


突然聞こえが悪くなった場合は?
 突然聞こえなくなるものには突発性難聴、メニエール病の初回発作、聴神経腫瘍、外リンパ漏などがあります。
 診断にあたっては聴力検査やレントゲン、CT、MRI等の画像検査、そして騒音環境にいなかったか、コンサートなどで大きな音を聞かなかったか、家族の中に難聴の人がいなかったか等の難聴の発症した状態も大切な情報になりますので病院では出来る限り担当医に発症した状況をお話ししてみて下さい。話を聞いただけで大体の診断が出来る病気が少なくありません。
 また、突然発症した難聴の多くは治療が早ければ早いほど治癒する可能性が高いので発症した場合は様子を見ること無くすぐ病院に行き検査、治療を受けた方が良いでしょう。

 放置した場合、徐々にその難聴が進行する危険性があります。
耳が鳴る

 耳鳴りのある患者さんの多くは難聴を伴っていることが多いという報告があります。特にその頻度が高いものには突発性難聴、騒音性難聴、老人性難聴、メニエール病、聴神経腫瘍などです。
 また、難聴を伴わない耳鳴りの原因としては高血圧や貧血、腎疾患、特に血液透析中の患者さんや高脂血症などに多く見られます。耳鳴りだけで聴力検査で異常がなければ様子を見ても良いのですが、少しでもおかしい経過や頭痛などの他の脳神経症状を伴う場合は総合的な検査をするべきだと思います。もちろん耳鳴りだけでも睡眠障害がみられたり、仕事に支障がある場合は治療した方が良いでしょう。
 薬物療法だけでも約70%の方は改善しますし、改善の認められない場合にも他の方法がいろいろありますので医療機関にて相談してみると良いでしょう。
 放置した場合、急速に増悪し難聴やめまいを伴う危険性があります。
すっきりクリニック 高橋耳鼻咽喉科