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耳 鼻 喉 その他
寝ている時に、いびきや息が止まる
 ロの奥はやわらかい筋肉によって作られています。睡眠中は、重力と筋肉の脱力によって舌や軟ロ蓋が、のどの奥をふさぐように変形するために、空気の通り道が狭くなり、ブルブル震えます。この音がいびきです。お酒を飲んだときやひどく疲れているときも筋肉の脱力が強くなり、いびきが大きくなります。さらに鼻の通りが悪くなると、ロで呼吸しようとしていびきが大きくなります。アレルギー性鼻炎、蓄膿症、アデノイド肥大症などが代表的なものです。
 またいびきをかきやすい方は、特徴的なのどの形をしています。大人では舌の奥(舌根部)、ロ蓋垂、軟ロ蓋が全体に狭くなっている方や首が太く短い方も、舌根部が狭くなっていることから、いびきをかきやすくなります。肥満がある方は更にこれらの傾向が強調されるため、いびきをかく方が多いのです。子供では扁桃腺が肥大している場合が多いです。 
 いびきがひどいと、いびきの間に息が止まったり(睡眠時無呼吸症)、酸素の取り込みが少なくなったり(低酸素血症)します。こうなると眠りが浅くなって、よく寝ているはずなのに、昼間眠くなったり、頭痛がする、不機嫌、朝の目覚めが悪い、疲れがたまったりします。場合によっては働き盛りの人や赤ちゃんの突然死や、子供の胸の変形の原因にもなります。
 睡眠1時間あたり10回以上呼吸が止まる場合は睡眠時無呼吸症候群といわれ注意が必要です。

 放置した場合、増悪し、成人病が進行している可能性があります。
咳が止まらない
 咳は大きく2種類に分けられます。痰を伴わない乾いた咳(乾性咳)と痰を伴う湿った咳(湿性咳)です。咳の原因はいろいろありますが、この2種類の咳の出方によりある程度判断できます。
 急に乾いた咳が出て数日後にのどの痛みと痰を伴う咳が発現した場合には風邪や急性咽喉頭炎の可能性が高いです。風邪に伴う咳の中には慢性化し乾いた咳が長く続くものもあります。また慢性的な乾いた咳が続き、喉の違和感がある場合には喉頭アレルギーの可能性があります。数年前は春先に多かったスギ花粉症の方が、秋になり今度は鼻の症状はないにも関わらず、のどの違和感、痛み、長い咳で病院にいらっしゃいました。調べてみると、ブタクサ、カモガヤ、ハウスダスト等に反応していることがあります。
 慢性的な痰を伴う咳の原因としては副鼻腔気管支症候群といわれるものがあります。これは鼻症状と下気道症状が混在したもので、鼻水がのどに落ちる後鼻漏が咳の原因となっている場合が多いようです。この疾患の場合は鼻だけを治療しても完治しない場合が多く下気道の治療も必要になりますので内科の先生とも相談しながらの治療になります。
 他には喘息、咳喘息、アトピー咳嗽、肺炎、肺繊維症、気管支炎、肺癌などがあり、内科的な疾患が多くなります。
 また、最近は乾いた咳が長く続く方の中には降圧剤のアンジオテンシン変換酵素阻害剤が原因となっている場合がありますので血圧の薬を処方されていて咳が出るという方は処方されている先生に相談してみてください。

 放置した場合、副鼻腔気管支症候群や喘息、最悪の場合、結核の可能性があります。
顔の動きが悪い、顔面に麻痺を感じる
 顔面神経は大脳皮質から発し、内耳道という聞こえの神経の通り道を通って側頭骨に入り、耳下腺という耳の下にある唾液を作る器官の中を経由し扇形に顔に広がっています。ですから顔面神経麻痺は、この通り道のどこに障害が生じても発症します。しかし、頭にその原因がある場合は頻度的には少なくいろいろな統計結果がありますが、だいたい1割以下であるようです。頭に原因がある場合には顔面神経麻痺以外の症状(片麻痺、頭痛、中枢神経症状)も随伴してますから鑑別状はあまり問題になりません。頭以外に原因がある場合がほとんどと言っていいのですが、特にその中で頻度の高いものはベル麻痺とハント症候群で、この2疾患で約8〜9割を占めています。
 ベル麻痺とは以前は原因不明の顔面神経麻痺と呼ばれていましたが、最近、単純ヘルペスウイルスの再活性化であると分かってきました。単純ヘルペスウイルスとは風邪などの体調が悪い場合に口元に小さな発疹を作るウイルスでほとんどの人が感染しているといわれています。このウイルスがふとしたきっかけで顔面神経内で再活性化し神経炎を起こし発症すると考えられています。
 ハント症候群は水痘帯状疱疹ウイルスの再活性化で、機序はベル麻痺と同様ですが、激しい耳痛と耳や周辺に帯状疱疹(発赤を伴う水疱)が出現するため鑑別は難しくありません。
 ベル麻痺、ハント症候群の治療は同じで、抗ウイルス剤とステロイド剤の使用ですが、どちらの場合でも出来る限り早く治療開始するのが原則です。

 放置した場合、症状が進行して難聴、めまいを伴なう危険性があります。
すっきりクリニック 高橋耳鼻咽喉科