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2012年2月

 うるう年の2月が過ぎようといています。2012年の6分の1が終わったかと思うと、時の流れの速さに改めて驚かされますね。1年で最も寒い時期を乗り越え、空気はまだまだ冷たくても、日差しの柔らかさからようやく春の兆しを感じられるようになってきました。

 さて、2月18日(土)は休診にさせていただき、都内の日本医師会会館で開催された学校医保健講習会に出席してきました。この講習会は、学校保健活動の円滑化を図るため、年1回開催されているものです。
 今回の講習会では、主に来年度から変更される学校伝染病の出席停止期間についての報告などがなされました。学校伝染病とは、学校や園などの集団生活で子供たちに伝染しやすい感染症のことで、なじみのものではインフルエンザやおたふくかぜなどが挙げられます。このような感染症の診断を受けた場合はさらなる伝染を予防するため、速やかに学校へ連絡し指示に従いましょう。 

 また今回は福島原発事故を受け、放射線医学総合研究所の方の講演もありました。原発事故に対し、医師が持つべき知識についてをテーマとし、原子爆弾による放射線被ばくの影響についてのデータが主に取り上げられました。放射線によるがんの増加は累積放射線量が100mSvで0.5%増加する程度である点や、同じ線量を急激に被ばくする場合より低線量でゆっくり被ばくする場合の方が発がんのリスクが半分以下に減少するなどという研究結果が報告されました。正しい知識を持ち、正しい対処を行うことで、過剰に放射能を怖がる必要もなくなります。社会レベルでの放射能教育が、今後は重要な課題となってくるでしょう。

 その他、インフルエンザワクチン接種の考え方が変わってきていることも報告に上がりました。インフルエンザなどのワクチンの効果には、「直接効果(個人免疫)」と「間接効果(集団免疫)」の二つがあります。感染させない、重症化させないなど、個人の発症や重篤化を予防するのが直接効果で、集団で予防接種を行うなどして免疫を持つ人を増やし、流行の拡大化を抑制するのが間接効果です。間接効果では、結果的に幼児やお年寄りなど免疫が弱い人の感染を免れる事ができ、その効果が近年見直されています。
 特に欧米ではその傾向が強く、米国では学童全員接種の方向に動いているようです。日本でも以前おこなわれていた学童集団接種は有効であったという研究報告があり、今後学童集団接種が再検討される可能性があるとのことでした。

すっきりクリニック 高橋耳鼻咽喉科