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2012年3月

 今年の3月11日は何事もなく、当たり前に過ぎて行きました。昨年のこの日もそうであったならと思わずにはいられません。

 復興元年と言われる今年。官民問わず様々な支援の輪が広がりをみせております。中でも、今後の進展を見守り続けたいもののひとつに郷土芸能にまつわる支援があります。沿岸部で津波の被害を受けた郷土芸能と言えば、陸前高田のけんか七夕や釜石の虎舞、宮古の黒森神楽などが浮かびます。これらは地元メディアでも取り上げられたため、内陸の人間でも被害の内容を目にする機会が少しはありましたが、全日本郷土芸能協会によると、岩手県で何らかの被害を受けた芸能・祭り・行事などは、なんと130余りに上るそうです。

 そんな中、「東日本大震災 芸術・文化による復興支援ファンド」による支援の話題を目にしました。同ファンドは企業や個人から寄せられた寄付を原資として、被災地の文化再生へ向けた支援を行うために立ち上げられました。昨年は音楽やアート、演劇団体からの支援要請が多数を占める中で、選考の結果、郷土芸能団体への支援額が最多となっているそうです。単発のイベントも、もちろん地域を盛り上げ生活に潤いをもたらすものですが、地域のコミュニティ再生へ直接寄与する支援として、郷土芸能が選ばれているのでしょう。

 また岩手県も、被災3県に先駆けて復興を目指す郷土芸能団体への補助事業を予算化しています。人びとの手によって受け継がれる郷土芸能は地域コミュニティの礎となり、その土地への愛着を生むものだと考えます。これらの支援が、過不足なく届けられる様願っております。

 さて、今月は先月のまでのA型に代わり、インフルエンザB型に罹患されている方が多く見られました。B型は症状が軽く収まる傾向があり、発熱も37度台と低めのことも多いため、一般的な風邪と勘違いして放置される方も多くいらっしゃいます。医療サイドにおいても発病初期では、検査をせずに風邪として治療してしまうこともあるほどで、後に検査してみて初めてB型と診断がつくことも多いのです。そのため、流行が拡大・長期化し、一部で重症化する患者さんが現れます。一人ひとりの症状は軽くても、全体として流行を抑えることが肝要です。
 インフルエンザの治療は抗インフルエンザ薬の早期投与につきます。当院では、たとえ検査で陰性になった場合でもB型の感染が疑われる場合には、速やかに抗インフルエンザ薬を投与するようにしております。例年ですと、流行は4月いっぱい、長い場合でゴールデンウィークまで続きます。軽い発熱やせきが続く場合は放置せず、速やかに医療機関を受診しましょう。

すっきりクリニック 高橋耳鼻咽喉科