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2012年6月

 6月になり梅雨入りしたものの、ここ数日は夏の日差しを感じさせるような陽気が続いています。とはいえ、太陽が雲に隠れれば、まだ肌寒さを感じる日もあり、長袖がちょうどいい時もあります。私も、毎朝天気予報を確認してから着替えるようにしています。
 さて、学校健診も中盤に入り、それに伴って受診する子供たちが増えてきました。学校健診における診断名はあくまでも“疑い病名”です。怪しい症状を見つけることが目的ですので確定した病名ではありません。耳や鼻の奥の状態は直視することが出来ない部位ですので、うわべ上は何ともないような状態でも病気が進んでいる場合がありますので、早期の受診をお勧めいたします。

 最近になり米国科学誌「PLos ONE」に携帯音楽プレーヤーなどを使い大音量で音楽を聞き続けると、聴覚検査は正常であっても、雑音の中から音を聞き分ける力(音を鮮明に聞きとる力)が弱くなるとの見解が掲載されました。これは1つひとつの音を聞かせて聞こえを検査する通常の聴覚検査では明らかにならない「音の聞き分け(音の鮮明さ)」に関わる聴覚異常で、今後の検査方法の在り方にも提言を与える研究成果としています。

 イヤホンなどで音楽を大音量で聞き続けると聴覚異常を引き起こすことは以前からよく指摘されており、また啓蒙活動も進んでいるように思います。実際、当医院でもイヤホン経由で音楽を聴き続けたことで起こる耳鳴りや耳閉塞感について、相談に来られる方が以前よりかなり多くなってきました。検査をしてみますと明らかな異常がある方もおりますが、正常な方もおります。検査結果上は正常であっても、いつもと耳の調子が違うと訴える方もいるため、現在の聴覚検査で全ての聴覚異常を診断できていないのではと考えていましたが、前述の見解が現在の検査ではすべての聴覚異常を診断出来ていないことを示しています。このような新しい知見は注意して実際の診療に反映させていくことが大切だと考えています。


すっきりクリニック 高橋耳鼻咽喉科