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2013年2月

 スギの花粉の飛散が3月10日ころから開始する予報が出ています。スギ花粉症の方で症状が強い方は内服治療を開始した方が良いでしょう。またインフルエンザの流行もまだ続いておりますので体調管理はしっかりとしていきたいですね。

 最近、補聴器に関する相談を受けました。その方は約58万円の補聴器を勧められるまま購入したが、その効果が感じられなくなったため購入店に持ち込んだところ、新しい補聴器の購入を勧められ、これが妥当であるか判断できないという内容でした。検査したところ、その方の難聴の程度は中等度で高価な補聴器でなくとも十分補聴効果が望める聴力でした。そのため信頼のおける補聴器店を紹介し、現状や検査結果から現在の補聴器を再調整してもらったところ、その補聴器は充分使える状態であり、聞こえも改善されました。この方のように必要以上に高価な補聴器を購入している方や、補聴器店とのトラブルを抱えている方は少なくありません。

 日本ではいつでも補聴器を購入することができますが、欧米諸国では補聴器の支給や購入に際し耳鼻咽喉科受診を義務づけている国がほとんどです。アメリカでは補聴器購入にあたり耳鼻科医の診断書が必要になっています。補聴器を装用する前に耳鼻咽喉科医の診察を受けることは日本以外の国々では常識となっています。 かつて補聴器の性能が悪かった時代は耳鼻咽喉科医の中にも「補聴器はあまり役に立たない」と言う人もいました。しかし現在は性能も改善され、日本耳鼻咽喉科学会も補聴器には力を入れてきています。個々の耳鼻科医も、補聴器に対して真剣に取り組んでいます。
 耳鼻咽喉科医を受診することにより、補聴器の必要がなくなる人もいますし、治療が必要な疾患を見つけることが出来ます。耳垢が詰まっている、外耳道の奇形がある、鼓膜穿孔があり耳穴型補聴器は要注意などといった情報を補聴器店に伝えることも出来ます。また、初めて補聴器を装用すると難聴が進行する場合が稀にありますので、定期的に耳と聴力のチェックを受けるべきです。

 もちろん良心的な販売をしている補聴器店もたくさんありますが、売らなければ収入にならないという宿命があります。その点、耳鼻科医は補聴器の販売で収入を得ているわけではありませんので、より冷静に、適切にアドバイスすることが出来ます。そして耳鼻科医と連携が取れている補聴器店であれば、補聴器の装着によるトラブルが起きた時(例えば耳がかゆい、痛い、聞こえないなどといった場合)、互いに連絡を取りながら対処することが出来ますし、購入にあたり耳鼻咽喉科医という監視者がいるため不当に高価な補聴器を勧められたりすることもありません。不要なトラブルを避けるためにも、補聴器の購入を考えている方はお近くの耳鼻科へご相談ください。

すっきりクリニック 高橋耳鼻咽喉科