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2013年4月

 4月に入り、当院近くの材木町では今年もよ市が始まりました。よ市が始まると、いよいよ盛岡にも春が来たなという感じがしますね。私も診療を終えた後に、よ市を眺めてから帰宅することが時々あります。最近では若い農家さんや飲食店などの出店も目立つようになり、ますます活気に満ちているようです。また、ようやく盛岡にも桜の便りが届きました。ゴールデンウィークには、岩手公園も花見客で大いに賑わうことでしょう。

 さて、来月から岩手県立美術館で始まる企画展のご紹介をしたいと思います。復興支援の一環として仙台、岩手、福島の3県を巡回する企画展、「若冲が来てくれました - プライスコレクション 江戸絵画の美と生命 -」が、いよいよ盛岡で始まります。世界的な江戸絵画コレクターとして知られるジョー・プライス氏所蔵の作品100点余りが一堂に会する企画展で、伊藤若冲の「鳥獣花木図屏風」をはじめ、河鍋暁斎や土佐光起、酒井抱一など江戸絵画を代表する絵師の作品が来盛します。私も江戸絵画ファンの一人ですので、とても楽しみにしています。特に長沢芦雪の「白象黒牛図屏風」と、国内からの賛助出品となる「象と鯨図屏風」を見られるのが嬉しいですね。

 そして、今回は展示される絵画のラインナップもさることながら、何と言ってもそのユニークな展示方法が話題を呼んでいます。未来を担う子供たちにこそ見てもらいたいとの氏の想いから、随所に子供たちに優しい仕掛けが施されているようです。
 例えば作品名の表示の仕方もその仕掛けの一つ。今回展示される曽我蕭白の「寒山拾得図」は、中国の故事に由来する東洋絵画ではポピュラーな画題の絵画ですが、作品名が読めないとなかなか興味を持てないものかもしれません。これが今回は「<かんざん>さんと<じっとく>さん」というタイトルで展示されるようです。これだけで絵の中の世界がぐっと身近に感じられる気がしますね。作品名が違うだけで、ずいぶん絵の印象も変わるものです。
 また、展示の構成も流派や年代で区切るのではなく、「動物」や「季節」など視覚的に分かりやすくカテゴライズされています。絵画そのものを楽しんでほしいという氏の思いが伝わってくるようですね。

 監修は「奇想の図譜」等、多くの著書で知られる辻惟雄氏。収益は被災地へ寄付されることとなり、また高校生以下の観覧料は無料です。日本画は、もしかしたら西洋絵画より分かりにくく、古くさい印象があるかもしれません。今回の企画展は日本絵画の魅力を、その概念から解き放つすばらしい展覧会になると思います。ぜひお出掛けください。

すっきりクリニック 高橋耳鼻咽喉科